はじめに
遺言書を書くことは、将来の相続トラブルを避け、財産を確実に受け継がせるための重要な手段です。
特に、家族間の関係を円滑に保つためには、遺言書が非常に役立ちます。
しかし、遺言書にも種類があり、その中でも「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。
この記事では、この2つの遺言書の違いをわかりやすく解説し、どちらを選べばいいのか迷っている方に向けて、選び方のヒントをお伝えします。
公正証書遺言とは?
公正証書遺言の基本
公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言書のことです。
公証役場で遺言者が口述した内容をもとに、公証人が正式な書類として作成します。
証人として立ち会う人が2人必要であり、遺言内容はその場で公正証書として記録されます。
手続きの流れ
公正証書遺言を作成するための基本的な流れは次の通りです。
- 公証役場での相談: 公証人に事前に相談し、遺言の内容や希望を伝えます。
- 証人2人の用意: 証人として2人の立会人が必要です。
- 遺言者が内容を口述: 遺言者が自身の意思を公証人に対して口述し、それを基に公証人が文章を作成します。
- 公正証書の作成と署名: 公証人が遺言内容を記録し、遺言者と証人が署名します。
メリット
公正証書遺言にはいくつかの利点があります。
- 法的な確実性が高い: 公証人が関わるため、法的に無効になるリスクがほとんどありません。
- 偽造や紛失のリスクが少ない: 公正証書は公証役場で保管されるため、本人が亡くなっても確実に遺言が執行されます。
- 相続トラブルを防ぐ: 公正証書は法的に強力な証拠となるため、相続人同士の争いを避けることができます。
デメリット
もちろん、公正証書遺言にもいくつかのデメリットがあります。
- 手数料がかかる: 公正証書を作成するには、公証人に支払う手数料が必要です。財産の内容や量に応じて、数万円から数十万円かかることもあります。
- 手続きが手間: 公証役場に出向き、証人を2人用意する必要があるため、少し手間がかかる点もデメリットと言えます。
自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言の基本
自筆証書遺言は、遺言者が自分自身で作成する遺言書のことです。
かつては全文を手書きで作成しなければならないという厳しいルールがありましたが、2020年の法改正により、財産目録部分をパソコンで作成することも可能になりました。
作成の流れ
自筆証書遺言の作成手順は非常にシンプルです。
- 全文を書く: 遺言の内容を自分で手書きします(財産目録部分はパソコン入力が認められています)。
- 署名と日付の記載: 最後に、自分の名前を署名し、遺言書を作成した日付を記載します。
- 保管場所を検討: 自筆証書遺言は、紛失や盗難、偽造のリスクがあるため、保管方法が重要です。
2020年以降、法務局で自筆証書遺言を保管する制度が導入されました。これにより、従来の紛失リスクが大幅に軽減されています。
メリット
自筆証書遺言のメリットは次の通りです。
- 費用がかからない: 自分で書くだけなので、特別な手数料はかかりません。
- 手軽に作成できる: 家で気軽に作成できるため、いつでも自分の意思を反映した遺言書を準備できます。
- 内容を変更しやすい: 自分で書くため、状況が変わった際にもすぐに内容を変更できます。
デメリット
自筆証書遺言にもデメリットがあります。
- 形式の不備で無効になる可能性: 書き方に不備があると、無効になってしまうリスクがあります。特に、署名や日付を忘れると法的に認められません。
- 紛失や偽造のリスク: 遺言書を自宅で保管する場合、盗難や火災、偽造のリスクが高くなります。法務局での保管サービスを利用するのが安全です。
公正証書遺言と自筆証書遺言の違いを比較
では、ここで「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の違いをいくつかの観点から比較してみましょう。
費用の違い
- 公正証書遺言は、公証人への手数料がかかります。遺産の価額によって費用が変わりますが、通常は数万円から数十万円の費用が必要です。特に、遺産が多い場合や複雑な内容の場合、費用が高額になることもあります。
- 自筆証書遺言は、基本的に費用がかかりません。紙とペンがあれば作成できるため、コストを抑えたい人に向いています。
安全性と確実性
- 公正証書遺言は、公証人が関与し、証人2人が立ち会うため、法的に非常に強力です。また、遺言内容が公証役場に保管されるため、偽造や紛失のリスクも低く、安全性は高いです。
- 自筆証書遺言は、本人が一人で作成するため、形式的な不備があれば無効になる可能性があります。また、遺言書の保管方法次第では、紛失や盗難のリスクが高くなります。ただし、法務局での保管制度を利用することで、これらのリスクを減らすことができます。
手間の違い
- 公正証書遺言は、公証役場に行き、証人を準備する手間がかかります。また、手続きが複雑で、日数もかかる場合があります。
- 自筆証書遺言は、家で手軽に作成できるため、短時間で準備ができます。証人も必要ないため、手続きの煩雑さはほとんどありません。
どっちを選ぶべき?状況別の選び方
では、実際にどちらの遺言書を選ぶべきなのでしょうか?それは、あなたの状況や重視するポイントによって異なります。
安全性重視なら公正証書遺言がおすすめ
財産が多い場合や、相続人が複数いてトラブルを避けたい場合は、公正証書遺言を選ぶのがおすすめです。
公正証書は法的に強力な証拠となり、相続人同士の争いを防ぐ効果があります。
また、遺言書が公証役場に保管されるため、確実に内容が実行される点も安心です。
手軽さ重視なら自筆証書遺言
自分のペースで気軽に遺言書を作成したい場合は、自筆証書遺言が向いています。特に、日常的に遺言内容を見直したり、状況が変わった際にすぐに修正できる点は大きなメリットです。費用もかからないため、コストを抑えたい人にも最適です。
まとめ:どちらの遺言があなたに合っている?
公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらがあなたに合っているかは、何を重視するかで決まります。
法的な安心感や相続トラブルを防ぎたい方は、公正証書遺言を選びましょう。
遺言書は死後に残された方にとってはとても重要な書類ですので基本的には遺言書は公正証書遺言で作成することをおすすめしています。
遺言書は、残された家族に対する思いやりの一つです。
しっかりとした遺言書を準備することで、家族が安心して未来に向かえる環境を整えておくことが大切です。
相続初回無料相談のご案内
カレィジ行政書士事務所では、遺言書作成をお考えの皆様に向けて、現在初回無料相談を実施しております。
遺言書についてお悩みの方は、電話、メールまたは公式ラインLINEからお問い合わせください。
カレィジ行政書士事務所 代表 渡邉 勇帆
大手司法書士法人に勤務後、その経験を生かして愛知県安城市で開業。戸籍や遺産分割協議書に関する知識を生かして顧客の預金相続問題を解決するサポートを愛知県を中心に行っている。