相続税は誰にでもかかるわけではない
相続が発生した時に誰しもが相続税がかかるかもしれないと不安になるかもしれません。ただ実際に相続税がかかってくるのは、ほんの10%未満の人たちなのです。それには「基礎控除額」というものが大きく関係してきます。
基礎控除額とは、相続税が課税される基準の金額のことを指します。この金額を相続財産の課税価格が超過すると相続税がかかってくるのです。
基礎控除額は以下のように求めます。
基礎控除額=5000万円+(1000万円×法定相続人の数)
そして、相続財産の課税価格から基礎控除額を差し引いた金額に対して初めて相続税が課税されるのです。
実際に相続税がどれくらいか計算してみよう
よりイメージを持ちやすくするために以下の条件で試しに相続税の計算を行ってみましょう。
例
法定相続人が合計3人いる場合(配偶者1人、子供2人)の相続税。
被相続人の財産 評価額
住居、土地 5000万円
株式 2500万円
預貯金 3000万円
死亡保険金(非課税額控除後) 4000万円
合計(課税価格) 1億4500万円
まず基礎控除を考えるため先ほど示した公式に当てはめて計算します。
基礎控除額=5000万円+(1000万円×法定相続人3人)
=8000万円
基礎控除額が8000万円とわかりましたので次は課税される遺産の総額を計算します。
公式は以下です。
(課税価格)−(基礎控除額)=(課税遺産総額)
実際に公式に当てはめていきます。
1億4500万円−8000万円=6500万円
これで課税される遺産の総額がわかりましたので、ここから各相続人にどのように相続税がかかるのか確認していきます。
計算には相続税の速算表を用いる必要があります。
以下の税率に当てはめて計算していきましょう。
法定相続分の金額 税率 控除額
1000万以下 10% なし
1000万超〜3000万以下 15% 50万円
3000万超〜5000万以下 20% 200万円
5000万超〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜3億円以下 40% 1700万円
3億円超〜 50% 4700万円
まず、状況の再確認です。
今回の相続では配偶者が1人、子供が2人です。この3人の各々の法定相続分は、配偶者が2分の1、子供2人がそれぞれ4分の1ずつになります。
配偶者の相続税を計算すると
3250万円×20%−200万円=450万円
子供1人あたりの相続税を計算すると
1625万円×15%−50万円=193万7500円
よって相続税の合計は
450万円+193万7500円+193万7500円=837万5000円
ということになります。
配偶者は相続税が優遇されている
ここまで頑張って相続税の計算を行なってきましたが、実は今回の相続では配偶者には相続税がかからないのです。
というのも、配偶者の負担税額からは「法定相続分」(配偶者の法定相続分は2分の1)と「1億6000万円の」うち、いずれか高い金額が控除されることになっています。このことから世間では配偶者は半分財産を相続しても税金がかからないと言われているのです。
今回は配偶者の相続財産は3250万なので2分の1以下かつ、1億6000万円以下であるので無税となるのです。
まとめ
・相続税は財産が多い人にしかかからない
・配偶者の相続税に関しては優遇制度がある。
以上解説でした。カレイジ行政書士事務所では簡単な相続税がかかるかの概算を行ったうえで相続に必要なお手続きをサポートし、必要であれば税理士の方へのご紹介を行っていますのでお気軽にご相談ください。